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一週間+αになってきてますねこんばんは、貴方の心の片隅に羊です!
放置プレイですいま せ
イベントが終わったにも関わらず、英文が倒せなくて真っ青です。
しかしこれ以上なんにもないのも心苦しいので、エイプリルフール話の手直しだけでも!と。
まぁカイマスなので、マスカイをお待ちの方はもーちょっとだけ待ってやって下さいませ。

という訳で、いろカイ7リターンズです。
ちょっと巷で流行ってたアカイトさんとマスターさんです。
4/1ネタだったので季節感だいぶずれてますが、その辺の誤差が許せる方はどうぞー。
ちょっとオマケも入ったよ!


act.7 狼少年の安息
アカイト×マスター
 ※アカイト(派生系)ご注意




「なんでアンタが俺のマスターなんだろうな」

曲の調整の合間、ふいに零れた言葉が部屋の空気を凍らせた。
我ながら最悪のタイミングだ。しかし言葉になってしまったものはもう戻しようがない。

「えーと…なにか嫌だった?」

案の定、モニターから目を離してふりむいたマスターの笑顔はぎこちない。
それでも俺の口は止まらずに思考を漏らす。

「あぁ、嫌だな」
「どこ?直せるところは直すよ」

マスターが楽譜を片手に立ちあがり、俺の傍まで近寄ってくるけど、直せるようなものじゃないんだ。またそれを馬鹿正直な口が告げてしまえば、マスターはぺし、と楽譜で顔を覆った。一瞬、泣かせたのかと思って頭が真っ白になったけど、楽譜の隙間から漏れたのは乾いた笑い声だった。

「はは…嫌われてるなぁ…。」
「…あぁ、嫌だな…」

こうしてマスターを傷つけるしか出来ない俺は、やっぱり不良品なんだろう。


赤い髪に赤い目の俺は、それだけならばただのカスタムを施された「KAITO」でしかない。
俺たちボーカロイドは所詮歌を奏でる楽器な訳で、楽器にステッカーを張ろうがどんな装飾を施そうが、基本的な機能が変わるわけじゃない。けれどどこかの馬鹿野郎が、見た目に合った性格にしたいとかで俺の基本プログラムを無理にいじったばっかりに、言語回路と思考回路の繋がりがおかしくなった、らしい。
簡単に言えば、反射的に思ったことを垂れ流すしかできない虫のようで、まさにバグったわけだ。
当然思考が駄々漏れなボーカロイドなんて煩くてしょうがないから、廃棄処分は自然な流れだったんだろう。でも、そんな廃棄寸前の俺を中古価格とはいえ買い取ってくれたあの人が、嫌いな訳がないのに。


その日の朝、ケーブル越しの世界はなかなか賑やかで、起動したばかりの俺の処理能力では一瞬追いつくことが出来なかった。何事かと思ったが、データバンクを漁るまでもなく目の前をドハデに装飾したグーグルさんが駆け抜けて答えに行きついた。

「…エイプリルフール、か。」

どのみち思考する時点ですべてが流れていく俺の口では嘘なんか吐きようがないけれど、せめて一言、今までの事は嘘だと彼に告げられたなら、彼は笑ってくれるだろうか。全て嘘ではないけど、真実でもないんだ。
そこまで考えて、自分が起動した理由に思い至った。時計を見れば、彼の起床時間にはまだもう少し間があって胸を撫で下ろす。そっと寝室へと続く扉を開けて中を覗くと、マスターはまだ穏やかな寝息を立てて眠っていた。

「よかった…」

足音をたてないようにベッドの脇まで歩み寄ると、ただ眠っているマスターを見つめる。マスターは一定のリズムで安らかな呼気を漏らすだけで、目覚める気配はない。その事に安堵して、俺は彼の寝顔をひたすら眺めた。この時間は、余計な事は考えなくてすむから。

「…あぁ、でも…今なら言えるかな」

瞳が閉じられている今なら、こんな自分を嫌だと思わずに、伝えられるだろうか。
ゆっくりと思考を落ちつけて、一つ一つを整理するように順を追って考えていく。そうすれば、自然と言葉は口から零れ落ちた。

「嘘だよ。正確に言えば嘘、じゃないけど、
 …嫌いじゃないよ、アンタの事」

眠る彼の瞼にかかった前髪を指先で払う。いつもは困らせて眉を下げた顔しか見れないけど、この穏やかな顔の方が、本当はとても

「好きなんだ。
うん…大好きだ」

ポンコツだと分かっていてなお、こんな俺を救ってくれたこの人が、きっと歌よりも言葉よりもなによりも俺には大切だった。そうして言葉にしてしまえば、とても意識が落ち着いた。そうだ、どうせ口に出すならばこんな優しい言葉がいい。そうしたらきっと、傷つけないで済むのに。いつも悲しそうな顔をさせることもないし、笑って貰えれば、きっと俺も嬉しい。

「アンタの曲も好きだ、アンタの歌詞も好きだ。
音楽としてはまぁ、そこそこってとこだけど、俺も大差ないからちょうどいい。」

額から離れた指を、布団からはみ出たマスターの指先に合わせる。触れたところから、じわりと熱が伝わる。暖かい。

「…でも、なんでアンタがマスターなんだろうな…」

そうじゃなかったら、手を伸ばせるのに。もう少し、近づけるのに。願うように指先に力をこめて、ゆっくりと手を引いた。ほんの僅かに触れていただけのぬくもりなのに、消えていくのが名残惜しくて、閉じ込めるように掌を握り締めた。
きっと、これも俺のバグ。

「…好きだよ」
「…うん、そっか。」
「あぁ、好きなんだ」
「よかった。」
「…!!!!?????」

噛みしめるように囁いた言葉に、まさか返事が返ってくるとは思わず、大きくベッドサイドから飛びのいた。良い体格した男が壁に張り付いてる姿はさぞ滑稽だっただろうが、正直それどころじゃない。

「な、ねっ、寝て…!!?」
「や、ごめん。起きづらくて。」

マスターは上半身を起こすと、のんびりと頭を掻いた。迂闊だ。呼吸音で気付くべきだった。しかし常に呼吸音が一定だったという事は、途中で目覚めたというんじゃない訳で、という事はつまり、つまり最初から全部。

「うん、ごめんね。」

しっかり俺の思考は口から漏れていて、それに律儀にマスターは頭を下げてしっかりとトドメを刺してくれた。急な出来事に俺の回路はオーバーヒート寸前で、処理しきれない熱で全身が赤くなっているのが自分で分かる。空回る思考から漏れる言葉は当然意味を成さないものばかりだ。

「う、ぅうぅう…」
「でも、嬉しかった。…なんて言ったら、失礼かな。」
「…うぅ…、え?」
「嫌われてるのかと思ってたから、さ。」
「…き、らいなんて、一度も言ってない。」

どうにか回らない思考からそれだけを告げると、はは、そうかもね。と苦笑じゃない本物の笑顔が返ってきた。それはずっと見たかった顔で、俺は荒い熱を吐き出しながらも、その表情に徐々に落ち着きを取り戻した。

「俺の勘違いで良かった。」
「嫌いじゃない。…アンタが、マスターなのが嫌だ。」
「うん。」
「…手を、」
「うん、伸ばして。ちゃんとその手を取るから。」

ベッドに座ったまま、彼がこちらに手を差し伸べる。恐る恐る伸ばした指先が彼に触れると、暖かい掌に包まれた。力を抜いてベッドサイドに座り込むと、ベッドがこちら側に軋んで傾く。マスターの肩と俺の肩が触れる。

「…暖かい。」
「うん。ねぇ、これからもよろしく、って言っていいかな?」
「…ん」

こくりと素直にうなずけば、くすりと喉の奥で笑われる。これも前には見たことのない笑い方だ。嬉しい、と素直に呟けば、また笑われた。

「主人じゃなくてさ、パートナーだと思えばいいんだよ」
「うん。」

空いた手で頭を引き寄せて頬をすりよせる。もっとぬくもりが欲しくて首筋に顔を埋めたら、犬みたいだと笑われてたけど無視した。この体温がずっと欲しかったから。

よろしく、俺の大切な人。



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オマケ 
act.7' 狼少年男の安息

「…あー、…なぁマスター。」
「うん?」

そろそろ起きなくちゃ、とベッドから抜け出そうとした彼の首筋に、そのまま噛み付くように口付けると、うひゃ、と情けない声があがって肩が大きく跳ねた。

「な、なに?」
「したいんだけど」
「…なにを?」

首筋を押さえてきょとんとした顔でこちらを見る瞳は、さっきの俺の言葉はまるでなかったかのように純粋だった。…俺の一世一代の告白を返してくださいマスター。

「好きだって言ったじゃん」
「え、うん…え?」

そのままシーツの上へ押し戻すと、慌てたように肩を押された。

「ちょ、ちょっと待てアカイト!」
「やだ」
「やだじゃなくて!」

気にせずにもう一度首筋に口付けを落としたら、頭を軽く殴られた。あぁ、スキンシップっていいな。でも本気で首を押さえつけられるともげる。しぶしぶ顔を上げて目線を合わせれば、いつものとはちょっとだけ違う困惑の表情でこちらを見ていた。だけどその顔もできれば見たくないなと、体も彼の上から少しだけずれてやる。

「…いやなのか?」
「嫌…っていうか…」
「だって、手を取ってくれたのに…」

目線を泳がせて言いよどむマスターの態度が悲しくて、また本音がこぼれた。それが恥ずかしくて彼に背中を向けてベッドの端まで這いずっていく。虫のいい事を言ってる自覚はあるんだ。今までずっと嫌っているような態度を取っておいて、いまさら好きだなんて。ベッドサイドにたどり着くと、立ち上がろうとしたところでマフラーを強く引かれた。首が落ちる!慌てて振り向けば、大きなため息をつかれた。

「あのね、アカイト、君が言いたくないことも言葉になっちゃうって言うのは分かってるから。言葉が怖いのも、分かってるつもりだから。
でも人の話もちゃんと聞こう。ね?」
「…はい」

なんとなく有無を言わさぬ雰囲気で、思わず素直に頷いた。促されて再びベッドのふちに腰掛ける。

「あのね、今日は何日?」
「…?4月1日…」

うんそうだね、えらいえらいと頭をなでられると、馬鹿にされてるのか微妙な気持ちになる。でもスキンシップも優しいほうがいいので、黙ってされるがままになる。

「で、ね。僕も社会人だから。さすがに入社式に出ないわけにはいかないんだよ。」

入社式。世間ではそんなものがあるのかと首を傾げれば、部署で新入社員の顔合わせがあるんだと諭された。もちろんマスターには世界がここだけではないのは分かっている。分かった?と念を押されれば、こちらも頷くしかない。残念だけれど、急に多くを望んでも仕方がない。寂しいけれど、という言葉はできる限り彼には聞こえない声量に調節できるよう努力していたら、その代わり、ともう一度頭をなでられる。

「…帰ってきたら、もっと沢山、二人でお話をしよう?」

その言葉がどうしようもないほど嬉しくて、思わず飛びついてキスをしたら、人の話を聞きなさいと、もう一度マスターに小突かれた。




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狼って言うか、犬男。
かみ合ってないことに気づいてるのかいないのかは皆様のご想像にお任せします(笑)。




2008.05.17 Sat l 小話(カイマス) l COM(0) TB(0) l top ▲

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